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管理人雑記 - 紛争解決事例4「弁護士からも『そのお金は取れない』と言われたが.....」

紛争解決事例4「弁護士からも『そのお金は取れない』と言われたが.....」

カテゴリ : 
ビジネス日記 » トラブル解決
執筆 : 
犬山環 2012/4/29 2:00
これも前職の会社(X社としましょう)でのことですが、この時も災難は突然やって来ました。
取引先の某信販会社がやって来るという話だったのですが、そのこと自体は別段珍しくなく、いつもの「うちの信販をもっとご利用を」という類の陳情だろうと思っていました。ところが、この時にやってきた先方の態度はいつになく強気です。そして封筒からおもむろに出したのは、刑事告訴するための告訴状でした。事件の概略はこうです。
ある地域に建築資材を扱っているX社の代理店がありました。ここの代理店の手数料は通常の2.5倍とべらぼうに高く、X社側としても絶対に利益が出ない企業で、下手すると赤字になるという内容だったにも関わらず、何故か長年取引を継続していました。この会社にはどこか胡散臭さが漂っており、そんな会社を切らないオーナー一族の判断が私は不思議で仕方ありませんでした。そんな疑惑の会社が、実はこんなことを極秘裏にやっていたのです。


この会社は債権回収の手段として、顧客にオーバーローンを組ませていたのです。実際に購入した商品の金額は30万円程ですが、ローンを組んだ金額はなんと400万円にも上ります。そしてその差額の370万円をこの会社にバックしていたという訳です。当時X社の経理の責任者はオーナーの弟で、この弟は何でも兄たるオーナーに相談する人でした。普通ならこんな要求をする会社は取引停止するのが常だと思うのですが、オーバーローンという、いわゆる信販詐欺に十数年に渡って協力していたようなのです。その事実を信販会社の人間が掴んでしまったんですね。

この場合、信販会社が被害を蒙った金額及び違約金を支払い、告訴を止めなければいけません。信販会社の要求金額の全てを飲まざるを得ない状況です。交渉している時間的な余裕はありませんでした。私が「NO」と言えば、信販会社の人間はその足で警察に行きかねません。残念ながらオーナーに相談する時間的な余裕が全くなかったので、私の独断で「支払います」と回答しました。
しかし、オーナーはこれが気に入らなかった。「こっちが支払う全額を代理店から回収してこい、このボケ!」と怒りを爆発させていました。しかも、こういう処理は絶対に私の担当ですから、いつものように「今すぐ行ってこい!」と厳命が下されました。
ご承知の通り、これは下手すると大掛かりな信販詐欺として新聞沙汰になりかねない事件です。しかもオーナー一族が関わっている可能性もある。しかも、相手は正体の知れぬ建築関係の海千山千の経営者で、裏には何が控えているのかわからないような相手です。この時は被害者たる信販会社に支払う違約金約800万円の回収を、このややこしい相手から如何にブン取ってくるかという問題でした。


弁護士に相談すると、この弁護士も敵前逃亡しました。その理由は、犯罪を犯した者同士は、その犯罪が失敗したからといって損害賠償金など請求できないから、というものでした。しかも表沙汰になると会社は致命傷を受けます。
この弁護士からは、「損して得取れでいきなはれ」とアドバイスを受けました。相手が「支払わない」と言っても、こちら側は法的な手段に出ることはできない。つまりは泣き寝入りするしかないということです。
しかしそれが通用するようなオーナーではないので、私には何としても全額を回収するしか道はありません。
この時、この問題を解決したノウハウが、後から考えるとまさにコーチングだったんですね。私は当時、コーチングなる言葉さえ知らなかったんですが。
この種の相手には「これは詐欺です」などと言ってはいけないし、相手のプライドも傷つけてはいけません。どうしたかというと、相手の正当性を無理やりでっち上げ、信販会社の横暴を訴え、信販詐欺の実態を喋った顧客を攻撃しつつ、信販会社に不当な金銭は払わないように断固戦いましょうかと提案したのです。世間知らずの馬鹿役員を演じ、こいつなら本当にやりかねないというイメージを相手に強く植えつけたわけです。そして、私はこれがどういう犯罪になるのか、それがどういう結果をもたらすのかを相手の口から説明させました。そうなると、相手は自分の言葉に恐怖を感じてきます。これは本当に効くんですよ。
こうなるとこっちのものですから、私は締めくくりに、「こちらの地域にも調べに入るようなこと言ってましたよ。多分こけ脅しでしょうけどね。社長のところのように真っ当な会社なら、調べられても埃ひとつ出ないでしょうから安心ですよね。」と言っておきました。


このあとの代金回収は非常に簡単で、こちらの請求金額をその場で頂戴できました。
しかしこの後、先方が食事をしようと誘ってきたんです。相手は私を引き止めたい様子がありありで、どうしても断り切れませんでした。その時、この事件にはうちのオーナー一族も関わっているかもしれんなと思い、これ以上いると危険だと感じた私は、理由をつけて早々に退散しました。こういう危険な状況が来そうな時は、36計逃げるにしかずに限ります。お調子者はここでただ飯、ただ酒、ただHなんかを期待するから墓穴を掘ることになります。
紛争解決には「これは危険だ」と察知する能力も必要です。私は普段は無防備な人間ですが、こういう危険な状況下では隙がなくなります。動物的な本能とでも言うか、直感が働くというのでしょうか。いつもはただの馬鹿ですが、こういう時だけは頭が冴えるんです。


オーナーからは大して感謝もされませんでしたが、無事に全額を回収してきたのを知った弁護士からは、「あれをよく全額回収できたもんだ!」と驚かれました。弁護士は確かに法律のプロには違いありませんが、必ずしも交渉事のプロではないと、その時に実感しましたね。
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